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身近な自然と防災―吾妻小富士

連休中に福島県の吾妻小富士に行ってきました。

身近にある大自然の絶景に圧倒されました。吾妻小富士は吾妻火山群の一つの火口で、5000~6000年前に形成されたと推測されています。

国土地理院の地図情報を確認しますと、火口の外壁の標高が1707m、火口底の標高が1564mで、約140mの深さもあることが分かりました。火口の直径が約450m、外径が約1420mで、一周するのに40分程度の時間がかかりました。

火口の内壁に植物も生育していますが、吾妻小富士を含む吾妻火山群は今でも活動している活火山です。気象庁のホームページで掲載されている火山活動の状況を見ますと、近年でも想定火口附近の火山性微動が観測されたり、噴火警報が発表されたりすることが分かります。


一連の地質学的調査や研究は、噴出物の分析を通して吾妻小富士を含む吾妻火山群の火山活動の仕組みと影響範囲を検討してきました。

例えば、鈴木和馬氏・戸丸淳晴氏・長谷川健氏(2022)は、吾妻小富士が①溶岩流ステージと②爆発的噴火ステージという2段階の火山活動によって生成されたことを主張しています。また、山元孝広氏(2005)は吾妻火山のマグマ噴出量の変化とマグマの供給系統の考察を通して、今後の火山活動を水蒸気の爆発と新マグマの上昇や噴出の2種類を予測しました。

これらの調査と研究の成果の他に、国土交通省や福島県などの行政側が大規模な調査などを行い、「吾妻山火山防災マップ」という詳細な防災マップを作成し、改善を重ねてきました。こうした防災マップによって、火山災害に対する市民や観光客の意識が向上されるだけでなく、噴石や火砕流などの火山活動が発生した際に、防災マップから人々の命と安全を守るための情報が提供されるわけです。


吾妻山の旅から、美しさと壮大さとともに、火山噴火という大自然の畏怖も体験しました。何よりも感心したのは、地質学研究や火山防災の取り組みといった大自然と共存するための人間の知恵でした。今回の旅で得られた知識と経験を学校の授業にも活かしていきたいと考えています。








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