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多様性



 皆さんにはこの写真がどう見えますか。

写真が映した景色は日の出、それとも日の入りでしょうか。

写真を撮った日はどのような天気だったでしょうか。

見る人が違えば、異なる答えが出てきます。

なぜなら、違う生活経験や価値判断をもっている人々には、「多様性」が内在しているからです。


 多様性は、哲学や心理学などを含む複数の学問領域で論じられるテーマです。我々自身も生まれつき多様性をもっており、多様性の時代を生きるわけです。所属している学会の仕事の関係で、多様性に関する勉強をして気づいたことですが、多様性とは何か、多様性をどう理解し対応するか、さらに多様性の力をどのように生かせるかについては、必ずしも十分に検討されていないかもしれません。


 勉強のために、一冊の本を読みました。それは、『多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織』(マシュー・サイド著、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2021年)です。著者のMatthew Syedは、現実社会で起きた事例や事件及び複数の学問領域の研究成果を通して、多様性のあり方を説明するとともに、多様性の欠いた組織や社会の潜在的危険性、複雑な問題を解決するために多様性の果たす役割等を検討しました。さらに、多様性を担保する方法も示されました。


 本を読んで教育の多様性について考えました。学校や教育の多様性については、「因材施教」という言葉のように、学習者の能力・性格・志向等の違いに応じて異なった教育を施す必要があります。この意味では、教育の営みも学習者の多様性という土台の上に成り立つものになります。貧困、ジェンダー、差別、格差等の問題を解決するために、学校や教育において多様性をどのように保障し生かせるかは、避けて通れない課題です。大学の授業でも、学生の皆さんと一緒に多様性について探究していきたいと思います。


 最後ですが、上の写真は日の出の景色で、9月の上旬に太平洋側のとある半島で撮ったものです。当日は、雲一つない快晴でした。













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