私はクリスマスから年明けにかけてドイツを旅行したことがあります。この時期のドイツは曇天で寒く、日中の時間が短いので、旅行者には少し残念な季節です。朝9時頃ようやく明るくなり、午後3時には夕暮れが迫り、少し心細い気分になります。でも、ショーウインドーは可愛らしく飾り付けられ、街の広場のクリスマス・マーケットは買い物客で賑わいます。ロマンチックでありながら厳粛な雰囲気でした。当時私はアメリカに留学中で、アメリカの底抜けに明るい、なんとなく商業的なクリスマスとの違いを強く感じました。
しかし、どちらの国で迎えても、やはり私にとっては旅人としてのクリスマスです。家々の暖かい灯り、窓辺に見えるツリーに、子ども時代の記憶が蘇り、急に故郷が恋しくなりました。「故郷は遠きにありて思ふもの」と思っていた私ですが、この季節に旅行するのはもうやめよう、と決めたのでした。
今年も間もなくクリスマスを迎えます。皆様の心に去来する思いは何でしょう。何かと慌ただしい年の瀬ですが、心の静寂を取り戻して聖夜を迎えましょう。皆様の新年の平安をお祈りします。Happy Holidays!
学科長 遊佐重樹
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